
3月3日は「桃の節句(ひなまつり)」、7月7日は「七夕」など、日本にはぞろ目の月日は「○○の日」というものが多いですね。今回ののりものマメ知識はぞろ目の1月11日に開業した、とある第三セクター鉄道のお話です。
その鉄道の名前は井原(いばら)鉄道。岡山県の総社(そうじゃ)駅と広島県の神辺(かんなべ)駅を結ぶ第三セクターの鉄道路線です。1999年に開業した比較的新しい路線であり、軽快なディーゼルカーによる列車が運行されています。下図のように総社駅と隣の清音(きよね)駅間は、JR西日本の伯備(はくび)線との共有区間です。反対側の終点、神辺駅では同じくJR西日本の福塩(ふくえん)線と接続しており、井原鉄道の一部の列車は福山駅まで乗り入れます。

▲ 井原鉄道井原線の路線図。●が同路線の駅です。
井原鉄道が通る井原市は、かつて井笠(いかさ)鉄道という軽便鉄道で山陽本線笠岡や福塩線神辺と結ばれていました。1971年に鉄道路線がすべて廃止となり、現在は岡山県南西部と広島県福山市を地盤とするバス会社として、「井笠バス」という通称で知られています。なお、軽便鉄道時代の車両の一部は現在でも大切に保存されており、井原市や福山市の公園やテーマパークでその姿を見ることができます。そして偶然とは恐ろしいもので、2010年6月21日ののりものマメ知識「高原のテーマパーク-野辺山SLランド」でご紹介した「野辺山SLランド」にも、同鉄道で使用されていた蒸気機関車が保存されています。
さて、井原線は伯備線総社と福塩線神辺を結ぶ新線として、1953年に鉄道敷設法に追加された区間です。1959年に鉄道建設審議会が工事線に採択し、1966年に国鉄井原線として着工しました。一方、井笠鉄道は1967年に神辺線と矢掛線が、1971年には残っていた笠岡(かさおか)駅~井原駅間が廃止されています。井原線と重複する廃止区間は日本鉄道建設公団に買収され、多くが井原線用地に転用されました。ところが路盤工事が5割ほど完成した1980年に、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)が施行されます。この法律は、簡単に言えば輸送量の少ない路線、もしくは少なくなるであろうと予想される路線を廃止、路線バスなどへ転換、もしくは建設を中止し、国鉄の赤字を軽減するというものです。井原線もこの法律で定められた路線に該当し、工事は凍結されてしまいます。
せっかくの鉄道敷設計画がなくなってしまうかに思えましたが、岡山県や広島県の周辺自治体が中心となり、1986年に第三セクターの「井原鉄道」を設立。鉄道公団により工事は再開され、1999年に晴れて開業となりました。
井原鉄道の開業日、すなわち旅客運用の始発列車が運行されたのは平成11年1月11日となり「1」のぞろ目となります。そして始発列車の発車時刻は11時11分11秒。つまり平成11年1月11日11時11分11秒と「1」が11個並ぶぞろ目の日時に、記念すべき「1」番列車は井原駅を発車しました。これは、工事を行った鉄道公団から井原線が井原鉄道に引き渡されるのが1998年(平成10年)12月31日であり、井原鉄道は翌日の1999年(平成11年)1月1日以降であれば開業日が自由に設定できるので、話題づくりのため「1」がたくさん並ぶ平成11年1月11日11時11分に決定したとされています。
1999年に開業し、1番列車が出発してから今年で11年が経ちました。のどかな風景が広がる沿線を、今日も列車は走っています。

次回は常磐線を走行するスタイリッシュな特急電車のお話です。お楽しみに!