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宮崎県にあった第3セクター鉄道「高千穂鉄道」は、2005年の台風被害からの復旧を断念し、2008年に正式の廃線となりました。同線は、国鉄再建法で廃止が決まった高千穂線を引継いだ鉄道でしたが、今回は生き残ることがかなわなかったわけです。その高千穂線は、熊本県の高森駅まで伸ばして高森線(現在の南阿蘇鉄道)と接続させる計画がありました。つまり、高千穂駅と高森駅の間は、幻の国鉄線ということになります。このように計画がありながら実現しなかった路線のことをレールファンの間では「未成線」と呼びます。 高千穂線は、河内トンネルで県境を越え、阿蘇の外輪山を高森トンネルで貫き高森駅に至る計画で、1973年に着工され工事が進んでました。宮崎県内では、レールを敷くというところまで工事が進んでいた場所もありましたが、1974年に高森トンネルの掘削中に異常出水事故が起こり、工事が中断しました。1980年の国鉄再建法の公布により高千穂線・高森線が共に廃止候補となり、両線を結ぶ区間の工事再開も地元で運行を引き受ける会社が現れない限り、行われないことになりました。 全国的にみれば、廃止候補となった路線を第3セクターで引継ぎ、工事中の路線もその新会社で開業させるケースもありました。しかし、高千穂線の場合は、既存線は第3セクターで引継いだものの、新線部分の工事を再開する事はありませんでした。その後、一部の構造物を撤去し、新線用地は地元に譲渡されています。 現在、一部の建設中トンネルを使って地元の神楽酒造が焼酎の貯蔵・熟成を行っています。さらに同社では、葛原トンネルを使った貯蔵状況の公開と製品販売などを行う高千穂観光物産館「トンネルの駅」が2000年にオープンしています。 この写真のように、熊本県菊水町の菊水プラザで保存後、同所が閉鎖してからは放置状態だった48647号蒸気機関車を2003年に引き取り、新線用として架けられていたコンクリート橋の上に保存しています。さらに、同年、高千穂鉄道で廃車となった「たかちほ号」用TR-300形ディーゼルカー2両を引き取り、御食事処「きっ茶ポッポ」として2004年に開店しています。焼酎貯蔵庫として公開されているトンネルと合わせ、まさにミニ鉄道博物館の趣きがあります。 高千穂町は、福岡や熊本と延岡を結ぶ特急バスが通り、山間部の割には公共交通で行きやすい場所ですが、町の中心部からやや離れた「トンネルの駅」は、残念ながらバスで行きやすいとは言えません。しかし、レンタカーなどを活用して、阿蘇や高千穂を観光するなら便利な場所にありますので、機会があれば寄られてみてはどうでしょう。 |




