そろそろ夜の冷え込みが厳しくなってきましたね。冬の到来、とまではいきませんが、駅弁の世界はだんだんと「冬モード」に入ってきました。というのは、冬に旬を迎える食材を駆使した冬期限定の駅弁が、そろそろ売店に並ぶ頃なんです。今回ご紹介する広島駅の「しゃもじかきめし」も、そんな駅弁のひとつ。11月から3月までの期間限定発売となっています。
駅弁の箱は四角なんですが、容器はご覧の通り、しゃもじの形をしています。しゃもじは広島県・宮島の名産品。箱に描かれている厳島神社の鳥居も、宮島ならではの風景。郷土色がしっかりと反映されている駅弁って、「せっかくこの地に来たんだから」と言ってついつい手が伸びてしまいますよね。旅人のハートをしっかり掴んでくれます。
駅弁のメインのおかず、牡蠣もまた広島県の名産品。まずはご飯の上に乗っている牡蠣の煮物からいただいてみますと・・・おお、プリプリしていて臭みも全く無く、美味いこと、この上なし!よく牡蠣は「海のミルク」と称されますが、煮物にすると「海のお肉」といったような按配。魚とも違う、海の肉ですよこれは。ちなみにその下にあるご飯も、牡蠣のダシとともに炊き込んであります。ほのかな香りが心地よいです。ご飯の中に牡蠣のブツ切りが入っているのも、嬉しい「おまけ」感覚ですね。
そしておなじみの牡蠣フライ。フライと駅弁の相性は良くないものですが、なかなかどうして。衣はやや厚めに仕上げてあり、しっとりと濃厚な味。「サクッ」という揚げたては逆立ちしても再現できない駅弁ゆえ、最初から「サクッ」狙いは避け、しっとりと美味しいフライにするためのノウハウを注ぎ込んだような印象を受けました。
そして3種類目の牡蠣は、ちょっと珍しい牡蠣の味噌和え。これは初めて食べましたが、個人的には煮物、フライを抑えて、一番美味く感じました。味噌には柚子の風味が加わっているように感じます。よく風呂吹き大根などに合わせるような、柚子フレーバーの味噌。これが食欲をこれでもかとそそります!フライと煮物でちょっと口の中が渇き気味だな、と感じたところに、この味噌和えを一口いただく。それがこの駅弁を楽しむためのローテーションですね。
しゃもじの「取っ手」部分には、じゃこの煮たものと、広島菜漬。じゃこは濃い目の味付けで、広島菜のほうは青物特有のクセを残しつつ、歯ごたえがあってなかなかの味。
ちなみに広島菜は、九州の高菜、信州の野沢菜とともに日本三大漬物とも言われています。
計7個の牡蠣を堪能できて、味も3種類。満足度の高い駅弁といえるでしょう。ぜひ冬期に広島を訪れた際は、この味を満喫してください。
さて次回は、広島名物の牡蠣、そして「しゃもじ」についての雑学をお届けいたします!