「どまんなか」は絶滅する!? 米沢駅ほか・牛肉どまん中【後編】

牛肉どまん中山形県米沢の名産品を現す「ABC」について以前、当コラムでご紹介したことがあります。記念すべき第一回目に紹介した駅弁、米沢駅の「鯉弁当」は「C」。鯉、つまり「carp」の「C」です。残りの二つ、「A」はりんご、つまり「apple」で、「B」は牛肉、「beef」。これら3つが米沢を代表する名産品です。

◇ファンのみぞ知る「要予約」駅弁! 米沢駅・鯉弁当【前編】

◇今も残る上杉鷹山の恩恵 米沢駅・鯉弁当【後編】

米沢の「B」をメインにした駅弁「牛肉どまん中」ですが、そもそもなぜ、この地で牛肉が有名になったのか?その歴史は明治4年まで遡ります。米沢といえば名君、上杉鷹山。鷹山公は藩内の教育にも力を注ぎ、いくつもの学校が設立されました。そのうちのひとつ「興譲館」の英語教師として招かれたのが、イギリス人のチャールズ・ヘンリー・ダラス氏です。

もともと横浜で貿易商を営んでいたダラス氏は、この地で英語を教えるために趣き、滞在中には米沢牛を非常に好んで食したといいます。教師としての任期を終えたダラス氏は、横浜に戻る際になんと牛1頭を連れて帰ったのだとか。その牛肉を知人らに振舞ったことに端を発し、「米沢の牛は美味い!」という評判が次第に広がっていったとのことです。もちろん、米沢が牛の飼育に適した風土であったことや、良質な牛を育てる技術とノウハウがその根底にあった、ということでしょう。

そしてもうひとつ、「牛肉どまん中」という駅弁のネーミングの由来にもなっているのが、山形県のブランド米「どまんなか」です。

1993年、同じく山形のオリジナル品種「はえぬき」とともに品種登録された「どまんなか」。それまでブランド米といえばササニシキ、コシヒカリ、あきたこまちなどが知られていましたが、「はえぬき」と「どまんなか」は米袋にかわいらしいイラストを使用し、ネーミングも公募したりして、華々しくデビューしました。「どまんなか」という名前には、山形県がお米の生産の“どまんなか”、つまりメインストリームであってほしい、という願いも込められています。

同じ山形県にあって、主に平野では「はえぬき」、山間部では「どまんなか」を栽培する傾向がありましたが、「はえぬき」のほうが作りやすいともいわれ、現在「どまんなか」を栽培する農家は大幅に減少しています。来年秋には山形の新しいお米「つや姫」のデビューも決まっており、ますます苦境に立たされることも予想されます。

牛肉どまん中
ただ、「麺にするにはうってつけ」ということで、小麦麺に米を練りこんだ「どまんなか麺」が登場して人気を博すなど、まだまだ「どまんなか」に対する需要はあります。駅弁「牛肉どまん中」もまたしかり。「どまんなか」をふっくらと炊き上げてあります。農家の皆さんからすれば大変かもしれませんが、駅弁の人気と相乗効果をなして、いつまでも残り続けてほしい味といえるでしょう。

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