
すきやき、ステーキ、焼肉、牛丼、ハンバーグなどなど、日本人のハートをガッチリ掴んでいるといえる食材が、牛肉です。牛肉をメインのおかずにした駅弁は数あれど、その名前のインパクトと美味しさで全国区の知名度を誇るようになった駅弁があります。米沢駅の駅弁「牛肉どまん中」です。デパートなどで開催される駅弁大会では長蛇の列が生じ、現在では東京駅などでも購入できるようになっています。
ご飯の上に牛肉のそぼろと牛肉煮が乗っていて、横におかずが数品。駅弁自体は至ってシンプルです。さっそくそぼろ部分をご飯と一緒に頬張ってみると・・・思わずうなずいてしまいます。「人気の秘密はコレにあるのか」と。そぼろの小さな肉の粒、そこにこれでもかと旨味が凝縮しています。野趣溢れる濃厚な味です。たかがそぼろ、とは決して言えません!
そして牛肉煮。こちらは優しく、ふんわりとしたすき焼きのような味。再びその美味しさにうなずいてしまいました。見た目には、脂身の部分が多く残っているんです。それゆえ、そぼろとは明確な味の違いが生じていて飽きのこないよう工夫されているのですが、「冷める」という宿命を背負う駅弁にあって、脂身を凝固させずにジューシーに保つワザが施されていると思います。
牛肉の旨味と脂の旨味は、本来異なるもの。そぼろでは牛肉の旨味をメインに、牛肉煮では脂の旨味も活かしつつ仕上げた、といったところです。
さらに、お米!米の味の良し悪しというのは「炊き方」にも大きく左右されますし、作り置きが基本の駅弁にとっては、なかなかお米の味まで堪能するのは難しいといえます。しかしながら、美味い!ふっくらしていて、べちゃべちゃしていない。ギュギュッと詰め込まずに、ふんわりと盛っているような印象を受けました。細かいところですけど、こういったところに「人気のあるなし」が表れるのかも、と思った次第です。
一方おかずは、玉子焼きと大根の桜漬、かまぼこ、そして人参とサトイモと昆布の煮物。サトイモには少々かつおぶしがまぶしてあって、美味。大根の桜漬はいわゆる一般的な味。箸休めなので香の物はこれでいいのかもしれませんが、やっぱり牛肉のクオリティがとても高い分、ちょっと桜漬だけはチープさが目立ってしまいますね。

・・・などと重箱の隅を突つきながらも大満足で完食!日本人の、肉に対する嗜好を吟味しつくしたかのような駅弁で、リピーターが多いのも頷けます。
さて次回は。山形県米沢の牛が全国区になった理由を紐解きつつ、他のブランド米に押されつつも奮闘する「どまんなか」についてご紹介します!