『駅弁ひとり旅・こぼれ話』第101話


東武日光駅「日光埋蔵金弁当」

ねえ、ねえ、大ちゃん。日光の、日光鱒鮨本舗の、
日本最高額駅弁、じゅう、 じゅう、15万円の、「日光埋蔵金弁当」、
食べさせてもらっちゃったんですって?

 

菜々


大介

ピンポ~ン! その通りです。正しくは、
15万7500円だけどね。消費税込みで。

菜々 : んまあ。忘れもしない。私の初任給より高いわ! 口惜しい!    
     で、どうだったの? 15万7500円のお味は?

大介 : もう、美味しいの何の、言葉には到底表せないよね。

菜々 : んまあ。ますます悔しい。

大介 : ま、例えて言うなら、素材の味と申しましょうか、素材に忠実!

菜々 : で、どんな素材が入ってたの?

大介 : 北海道産たらばがに、九州産くるまえび、とちぎ和牛、ロシア産ベルーガキャ ビア、
     国産からすみ、日光産湯葉などなど。

菜々 : ゴク。

大介 : 例えば、たらばがには、今まで何度か食べたことあるけど、それが、
     本当のたらばがにだったのか、疑いたくなるようなチョー逸品。 くるまえびも、
     食感がぜーんぜん違う。まる生きているかのようなプリプリさ。
     とち ぎ和牛のステーキに至っては、牛肉って、噛まずにとろけちゃうわけ、
     っていう柔らかさ。僕の知ってる肉の味じゃないんだよね。
     ただただ、感激、堪能しましたよ。

菜々 : ウーン、もういい。悔しくて、聞いてられへん。

大介 : そんでもって、生湯葉とキャビアのコンビネーションが……。

菜々 : わ、わ、わ、わかりました!

大介 : デザートの和菓子がこれまた……。あれ? 菜々ちゃん、どうしたの? 
     怖い 顔しちゃって。気分でも悪いの?

菜々 : 当たり前でしょ。美味しい話をいくら聞いても、
     私が美味しいわけじゃないんだから。それより、電車の話がいい。

大介 : あーあ、菜々ちゃん、怒らせちゃったようだな。
     それじゃ、ご機嫌直しに日光の電車話! 
     日光へ行く路線はJR日光線と東武日光線があるけど、断然、東武日光線だね。

菜々 : どこが違うの?

大介 : JR日光線は各駅停車だけ。しかも107系の通勤型電車なんだよ。
     座席がベンチシートだから、例え空いていても、ちょっと駅弁を食べる気分になれない。

菜々 : ということは、東武はベンチシートじゃないわけ?

大介 : うん。東武日光駅発着なら各駅停車でもセミクロスシートだよ。
     駅弁って、お 腹を満たすだけの食事じゃないんだよ。
     やはりすばらしい車窓風景とセットじゃないと美味しくない。
     流れゆく車窓風景がおかずというわけさ。

菜々 : そっか。ベンチシートで駅弁食べにくいのは、旅行気分になれないだけじゃなくて、
     車窓風景が見やすくないからなのね。

大介 : その結果が、東武日光駅では「日光埋蔵金弁当」を筆頭に数多くの
     駅弁が販売されているけれど、JR日光駅の駅弁はナシ。

菜々 : わかった! 原因は、モハ107系のベンチシート!

大介 : ピンポ~ン!





    
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駅弁ひとり旅 第8巻

【監修】櫻井 寛
【作画】はやせ 淳
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