【週刊ノリスケ】 一番新しい私鉄新線

平成筑豊鉄道「やまぎんレトロライン」

いま国内で最も新しい私鉄新線というと3月20日に開業した阪神なんば線を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、開業が最も新しいのは4月26日に開業した、この写真の路線なのです。

写真を見て、「あまり新しそうな線路に見えない」とか「どこかで見たような車両だ」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。そのどちらも正解です。

実は、この線路は2005年までJR貨物と北九州市が営業していた門司港地区にあった貨物線を転用したものです。写真を撮った場所は、門司港駅から伸びたJR貨物の貨物線の終点だった外浜駅付近で、この駅から北九州市の保有する貨物引込み線が延びていたのです。車両は、南阿蘇鉄道でトロッコ列車に使っていた機関車と島原鉄道のトロッコ列車で使っていたトロッコ客車なのです。

門司港レトロ地区として観光地となった門司港地区で、貨物線を活用した観光列車運転の構想は以前からあり、それが実現したのがこの列車というわけです。使われなくなったJR貨物の貨物線を北九州市が取得し、市営の引込み線と合わせて、正規の鉄道として国土交通省の許可を受けたのです。ただし、2000年の鉄道事業法改正によって認められるようなった「特定目的鉄道事業」としての許可で、観光目的の乗客を対象とする鉄道という位置づけになります。

北九州市が第3種鉄道事業者として鉄道施設を保有する一方、平成筑豊鉄道は、第2種鉄道事業者として運営を担当する上下分離方式の事業形態を採用しています。さらに線名や駅名は、ネーミングライツを販売して運営費の一部にあてています。この結果、門司港レトロ観光線という公式の線名に対して、山口銀行が命名した「やまぎんレトロライン」という愛称があります。また駅名も、ネーミングライツに応募がなかった終点の関門海峡めかり駅を除き、ネーミングライツ購入者が命名した駅名です。さらに列車には、一般公募で決めた「潮風号」という愛称もあります。

運行は、春から秋までの土・休日(ゴールデンウィークや夏休み期間は毎日)で、観光目的の鉄道らしい設定です。

列車の前後に1両ずつ連結される機関車は、もともと機械扱いで駅構内での貨車の入換えに使われ、貨車移動機と呼ばれていた車両です。正式な鉄道車両ではありません。南阿蘇鉄道でトロッコ列車を運行するにあたり購入され、正式な機関車として使えるように改造が行われました。新車を導入して廃車となったので、門司港レトロ観光線で使うために購入され、さらに整備が行われています。背が低いため、トロッコから前や後を見るのに妨げになりにくく、トロッコ列車に向いています。乗客が乗るトロッコは、もともと貨車だった車両を改造しており、生まれが貨車ならでは乗り心地の悪さもここでは一つの魅力です。

門司港駅に隣接した九州鉄道記念館駅を出発した列車は、門司港レトロ地区や関門橋を眺めながら関門トンネル人道口に近い関門海峡めかり駅を目指します。現在、関門国道トンネルが改修中なので通行はできませんが、来春には海の下を歩いて下関に渡り、唐戸までバスで移動して、唐戸から関門汽船で門司港に戻ることができます。変化に富んだ関門海峡を巡る周遊ルートでなかなか楽しそうですね。

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