ふんわり甘い鯛のおぼろ 小田原駅ほか・鯛めし【前編】

鯛めし次から次へ新作駅弁がリリースされる昨今ではありますが、その一方で昔ながらのスタイルを守り続ける“長寿駅弁”があります。今回食べてみた「鯛めし」も、そんな駅弁のひとつです。

まず、この地域の「鯛めし」をご存じない方は、封を開けてビックリされるかもしれません。写真をご覧いただければわかるように、ご飯の部分は真っ白。日の丸弁当の梅干入れ忘れじゃありませんよ。これぞれっきとした「鯛めし」。鯛などの魚の「おぼろ」が一面に敷き詰められています。

そして駅弁にしては珍しく、割り箸に加えて木製のスプーンがついているのがちょっと驚き。今年の8月にリニューアルした際、スプーンを入れるようになったそうです。なるほど、「おぼろ」が細かいだけに、スプーンのほうが断然食べやすいですね。口当たりは粉雪のようにふんわり!甘めに仕上がったおぼろの味が、あっさり炊いた茶飯にマッチしています。ちなみに「おぼろ」を辞書で紐解くと「タイ・ヒラメ・エビなどの肉をすりつぶして味を付け、いり煮にした食品。そぼろ」とあります。個人的には、いわゆる一般的な「そぼろ」よりも細かく繊細な印象を受けました。口当たりでいえば「桜でんぶ」に近いかもしれません。

ただ、酒飲みの筆者には少々甘めに感じました。そこで功を奏するのがおかず類。コロッとした丸ごとの椎茸をたっぷりのダシでじっくり煮込んだ「含め煮」、その味が濃厚なので、鯛おぼろで甘さが行き渡った口の中を一旦洗い流してくれるかのよう。あけ貝の佃煮もまたしかり。ツンと鼻に抜けるワサビ漬けも効いています。全体のバランスを考えた上での「つけあわせ」ですね。その他、大根の桜漬、かまぼこ、竹輪も入っています。

鯛めしそうこうしているうちに完食。見た目がちょっと地味な駅弁ではありますが、小さなお子さんから固い物が苦手な高齢者の方まで美味しくいただけそうですね。

ちなみにおぼろの素材はマダイのほかにオキサワラ、クロカジキ、アブラガレイなど。ここでちょっと豆知識。安さがウリの回転寿司で「えんがわ」があったとしたら、アブラガレイの可能性大です。寿司屋で「えんがわ」といえばヒラメですが、アブラガレイのえんがわも脂が乗っていて、それなりに美味しくいただけます。

さて、次回は全国津々浦々で異なる「鯛めし」についての雑学をお届けします!

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