
駅弁とは、ただのお弁当にあらず。土地土地の名産を詰め込み、郷土色豊かに仕上げた駅弁が、昨今の主流といえます。では“東京の駅弁”はどうでしょう?まさか浅草名物雷おこしを入れるわけにはいきませんし、練馬大根だけではちょっと地味・・・そこで駅弁メーカーが着目したのは、かつての東京湾。豊かな漁場として機能していた東京湾の「海の幸」を彷彿とさせる駅弁が人気を呼んでいます。
品川駅の「ジェイアール東海パッセンジャーズ」の売店で販売している「貝づくし」も、そんな駅弁のひとつです。
“づくし”と銘打つだけあって、封を開けて目に飛び込んでくるのは、ご飯の上にギッシリと敷き詰められた貝!3種の貝の合間には目にも鮮やかなグリーンピースと紅しょうが。さらに脇におかず類も入っていて、なんとも嬉しい気分になること請け合いです。
まずは、あさり。タレ仕立てのあさりはサラリとした甘さ、醤油仕立てのあさりは海の香りがほんのりと残り、なかなかの味。うすくち醤油ベースで炊き込まれたご飯との相性もバッチリです。
そして、しじみ。こちらは佃煮のように、まさに甘辛い感覚。ご飯がどんどん進んでしまいますね。最後は、貝柱。こちらはあっさり塩味で、刻みのりの風味がアクセントになっています。夜ならビールが欲しくなり、朝ならお味噌汁が欲しくなる・・・とでもいいましょうか。いやはや美味しいです。

これだけでもかなり満足しますが、おかず類の充実も見逃せません。甘めに仕上がった玉子焼きに加え、たけのこ、しいたけ、ふき、人参などの煮物。「おかずが多い」というだけでちょっとリッチな気分になります。さらに適度に塩っ気のある野沢菜漬の和え物が効いています。全体的に甘めのおかずが多いため、ピリッと引き締まるような感覚です。
今となってはなかなか東京湾の海の幸でお弁当を作るのは難しいですが、江戸特有の“いなせ”なイメージは、この駅弁にも存分に受け継がれているなと思いました。
さて次回は、品川にまつわる雑学を中心にお送りします。