
いささか以前の話題となってしまいましたが、今年の4月25日からJR九州で定期的に蒸気機関車の運行が始まりました。こう書くと、読者の中には「JR九州って阿蘇山を走る豊肥本線で蒸気機関車を運転していたのでは?」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。これはそのとおりで、JR九州は8620形蒸気機関車58654号機の復元工事を行い、1988年8月から豊肥本線熊本~宮地で「SLあそBOY」号として復活運転を開始しました。しかし、2005年に58654号機は運転継続が困難であるほど老朽化が進んでいることが判明し、同年8月に運転を終了しました。
JR九州小倉工場で同機を調査した結果、大規模な補修等を行うことなりました。例えば台枠という機関車の土台となる主要部品を新調しています。この結果、58654号機は今春に2度目の復活を遂げたのです。1988年に最初の復活をした際には、蒸気機関車の心臓部とも言える蒸気を作るボイラーを新調していますので、2度の復元工事で主要部分はすっかり交換が行われた事になります。
SL列車と言えば、機関車が引っ張る客車が必要です。これには2005年まで「SLあそBOY」で使われていた車両を再整備して使っています。以前は、上半分がクリーム色、下半分が茶色というツートンカラーだったのですが、今回の復活運転に向けた整備では、裾回りが黒色、上部が茶色という落ち着いた色調に改められました。3両編成で、1両目と3両目の端は展望ラウンジになり、最前部となったときには機関車を、最後部となったときには走り去る景色を眺めることができます。中間の車両にはビュッフェがあり、飲み物や軽食を販売しています。
今回走る肥薩線は、もともと鹿児島本線として開通しました。しかし、昭和2年に水俣経由で八代~鹿児島が結ばれたため肥薩線となりました。明治時代に幹線として開業したため設備がしっかりと造られており、古い施設がよく残っています。例えば、この写真の鉄橋は開業時に輸入されたアメリカ製です。また、坂本、白石の駅舎は、1908年の開業以来100年以上使われているそうです。まさに1922年生まれの58654号機が走るのに相応しい路線ですね。
今年の運転は、11月末までの金・土・日曜日が中心ですが、夏休み期間中は火曜日を除くほとんど毎日に運転されています。2011年春には、九州新幹線博多~新八代が開通し、新大阪から鹿児島中央まで直通列車が走る予定です。新幹線の開通を待って訪れるもよいですが、新幹線開通前の鹿児島本線の賑わいを確かめながら訪問するのも楽しそうです。