あごだしは雑煮の必需品~佐世保駅・南蛮平戸あごめし【後編】

南蛮平戸あごめし幼い頃、初めて波の上を滑るように飛ぶ「トビウオ(あご)」を見たとき、びっくりしたのを覚えています。ぴょんぴょんと飛び跳ねるくらいだとタカをくくっていたら、ヒレを翼のように広げて100mくらい着水せずに飛ぶんですよね。まさに「トビウオ」!なんと、300mくらい飛ぶこともあるそうです。マグロなどの天敵に遭遇した時に飛ぶといわれていますが、確証のある理由はまだ判っていません。

ではなぜ、長崎をはじめ九州や山陰など日本海沿岸地域では「あご」と呼ばれるのか?それは定かではありませんが、トビウオの一種、ホントビウオの学名を調べてみると「Cypselurus agoo agoo」とあります。“agoo”って「あご」のこと?当時の長崎は国内で唯一、西洋との交流があった地ゆえ、この方言が世界に広まって、その結果学名の一部になったのでは、といわれているんです。

では、「あご」は私達の食卓に、どのような形で上ってきたのでしょうか。まずは、お刺身。ただし新鮮なものに限られます。なにせ飛ぶ魚ですから運動量が多いせいか?脂肪が少なく、淡白であっさりした味わいです。

駅弁「南蛮平戸あごめし」のように、干物として食することもよくあります。炭火などで焼き上げた「焼きあご」の場合は、「だし」ですね。みそ汁やお正月の雑煮のダシとして使われます。焼いたあごを粉末状にして使いやすくしたものも昨今ではよく売られていますね。とりわけ平戸産の「あごだし」は高級品として愛用されています。

ちなみに、他の地域ではどんなふうに使われているのか?たとえば新島や八丈島などでは、ムロアジとともに「くさや」の材料として使われています。山陰などでは「あごちくわ」として竹輪の材料になることも。山形県の酒田では、煮干や鰹節などとともにラーメンのスープを取る際に使われているそうです。

南蛮平戸あごめし
平戸地方では秋になると「あご」漁が盛んになります。その頃に、この地方に吹く風を「あご風」というのだとか。そういえば富山でブリ漁が盛んになる頃に響く雷鳴を「ぶり起こし」と言ったりします。漁業と気候は密接に関係しているんですね。それゆえ、秋にこの地方を旅行すると、新鮮な「あご」の刺身にありつける可能性もグンと高まります!ぜひ、その時期に訪れてみてはいかがですか?

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