鴨料理の伝統を守る湖北-米原駅・湖北のおはなし【後編】

湖北のおはなし
日本の肉食文化の始まりといえば、文明開化後の牛肉をイメージする方も多いと思いますが、イノシシや鹿、馬、鳥類などは明治以前から食べられてきました。江戸ではこれらの肉を振舞う「ももんじ屋」が出現したり、関西で軍鶏鍋が流行るなど、庶民にとっては高嶺の花だったと思いますが、あることはあったんですね。


鴨も例外ではありません。晩秋になると大陸から飛来してくる真鴨、その味に魅了された人は多く、鴨が飛来してくる土地ではさまざまな料理が生まれました。有名どころですと、石川の治部煮、新潟の鴨汁、島根県は宍道湖の鴨の貝焼きなどがあります。琵琶湖に鴨が飛来する湖北地方も、鴨すきや鴨鍋などの食文化が古くからあり、今でも冬場になると鴨料理目当ての観光客がはるばる訪れるほどです。とりわけ鴨すきは、単に鴨肉だけでなく、鴨の骨をたたいてミンチのお団子状にした「たたき」も食べるのが、この地方の伝統的な食べ方。ぜひとも味わってみたいですよね。


ただし現在、琵琶湖は禁猟区となっています。そのため天然に近いかたちで養殖(飼育)した鴨や、他の地域で獲れた天然の鴨を用いたりして、郷土の食文化を守っています。


ではここで、ちょっと雑学。天然の真鴨のオスは頭部が緑色などで「青くび」とも言われています。その真鴨から人工的に生まれたのが「家鴨(あひる)」。家鴨と真鴨を掛け合わせて生まれたのが「合鴨」です。


湖北のおはなし

そんな湖北の鴨とともに、晩秋から冬にかけての風物詩といえるのが「赤かぶら」。赤い色をしたカブです。滋賀県はカブの一大名産地。古くから漬物などに加工され、京都の貴族達にも親しまれていました。駅弁「湖北のおはなし」のお膝元、米原市や琵琶湖西部、いわゆる「湖西」地方などでは、晩秋から初冬にかけて、赤かぶらを竹を組んだ「ハサ」と呼ばれる木枠に干して、天日と風にさらします。赤い色彩がズラリと並ぶその姿は、まさにこの地域ならではの風物詩。一見の価値があります。


地域の名産を品よく散りばめた駅弁「湖北のおはなし」。機会があればぜひ、その味覚を楽しんでみてください。


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