
関西で「きつね」といえば「きつねうどん」が当たり前。しかし関東で「きつねちょうだい!」と蕎麦屋で言ったとしたら「そばですか?うどんですか?」と必ず聞かれることでしょう。同じ名前であっても、地域によって「常識」が異なることが多々あります。
「カツ丼」もそのひとつ。「カツ丼」といえば、揚げた豚カツをダシの効いた「卵とじ」にして丼の上に載せる・・・というイメージが浸透していますが、福井県などでは、卵でとじない「ソースカツ丼」が一般的のようです。今回は、福井駅の駅弁「福井が一番 ソースカツ丼」を食べてみました。
冷めてしまうと味が落ちてしまいがちな「揚げ物」。駅弁において「揚げ物を美味しく食べてもらう」ようにするには、さまざまな工夫が必要といえます。この駅弁の場合、まず最初の工夫は「加熱式」にすること。封を開けない状態で紐を引っ張るとシューッと湯気が出て、8分ほどするとホカホカになります。
ふんわりとソースの香りが立ち込めてきたところで、いざ封を開けてご対面。おお、思ったより見た目が「茶色」だ。これぞ、福井のソースカツ丼。ソースカツ丼というと、ソースの「黒」やキャベツの「きみどり」の色合いもあるかと思っていたので、ちょっと意外。
カツは2枚。「薄く大きい」のが特徴ですね。一口食べてみると、なるほど、「甘辛」具合が絶妙でクセになる味。ソースの甘味と酸味が程よくて、ご飯が進みます。食感もGOOD。サクッと揚げたカツをそのまま飯の上に乗せてあるのではなく、ソースがじんわりと衣に沁みこんでいます。いうなれば「みぞれ煮」の食感に似ていて、美味い。カツには適度な歯ごたえがありますが、「みぞれ風」の食感に仕上がっているだけに、バランスがいいなと思いました。

おそらく「サクッと揚げたカツをそのまま飯の上に乗せる」スタイルのソースカツ丼ですと、加熱式駅弁の水蒸気で生じる「水っ気」で衣がフニャフニャになり、台無しになってしまうことでしょう。しかし「福井流」のソースカツ丼の場合は、もともとソースがよく沁みこんでいるものなので、その心配がない。「加熱式」との相性が良い料理なんですね。
付け合わせの紅しょうがとの相性も抜群でした。惜しむらくは、ちょっとご飯が少ないこと。しかし裏を返せば、小食な方や女性には良さそうです。旅路で食べるなら駅弁以外にも美味しいご当地名産を食べたいですもんね。駅弁は「腹八分」が基本です!
さて次回は、なぜ福井で「ソースカツ丼」なのか、そのルーツを紐解いてみたいと思います。