
すっかり春めいてきて、ウィンタースポーツのシーズンも終わりが近づいてきましたね。ウィンタースポーツといえば、スキーやスノーボードなどのスノースポーツを思い浮かべる人も多いでしょう。
これらのスポーツと縁深い乗り物といえば、リフトやゴンドラなどのロープによって支えられた空中を進む乗り物・・・専門的には「索道」と呼ばれる交通機関ですね。索道は、法的には、広義の鉄道として扱われています。
ロープにぶら下げるわけですから、索道のロープはピンと張らないとなりません。ピンと張ると、当然のことながら直線になり、途中で曲がったりはしません。曲げたい位置で、ロープにかかる横向きの力を支える特殊な支柱があれば、ロープを曲げることは出来ますが、ロープだけを曲げても意味ありません。
リフトならチェア、ゴンドラならキャビンが、曲がった地点を通過する必要があります。チェアやキャビンは、通常の支柱を通過するのに支障がないように、ロープを外側から掴むようになっています。右に曲げる場合、左側の線路は内側に支えが必要ですが、これはそれ程の問題ではありません。しかし、右側の線路では外側からロープを支える必要があります。これでは、ロープを掴む装置(握索装置)が邪魔になります。
ゴンドラの場合は、停留場内でキャビンはロープから離れて、レールの上を進みますので、曲げたい場所に停留場を作ってやれば、ロープだけ曲げれば済み、キャビンをどう曲げるかを考える必要はなくなります。実際、野沢温泉スキー場や栂池高原スキー場には、中間停留場で曲がっているゴンドラがあります。
困るのが通常のチェアリフトです。何らかの事情で、途中で曲がった路線にしたい場合もあり、1970年代に各リフトメーカーが研究を進めました。その一つが、この写真の旭川嵐山市民スキー場のリフトです。
このスキー場は、山頂から見て「く」の字型のゲレンデになっています。通常ならゲレンデから離れても、一直線にリフトを架けるわけですが、ここは「く」の字の内側にジャンプ台があり、そこを通過するわけにはいきません。その結果、この安全索道製の屈曲リフトが採用されました。このリフトは、外側に曲がる部分(写真右側)の水平滑車に工夫がしてあり、滑車の外縁部がキーボードのキーのように上下できる構造になっています。そして握索装置が通過するときは、上に逃げるわけです。
曲がることが大の苦手なリフトを、ここまで苦労して曲げても、この屈曲部分のメンテナンスに手間がかかり、ランニングコストアップの要因でした。さらに、屈曲部分を通過する際には遠心力でチェアが傾くので、リフトの速度を上げたり、ペアリフトにする事も難しく、次第に時代の要請に応えられなくなりました。結局、屈曲リフトは、あまり普及することなく新規に建設されなくなり、実現した路線も次第に廃止されました。
実は、この旭川嵐山市民スキー場のリフトが、国内最後の本格的な屈曲リフトでした。しかし、スキー場が2006年に閉鎖されたため、今ではリフトも廃止されています。国内で屈曲リフトに乗ることは、もうできないのかもしれません。