宍道湖が育んだ「七つの珍味」と「十の名勝」 JR松江駅・大和しじみのもぐり寿し【後編】

大和しじみのもぐり寿し根県東部に位置する宍道湖は、淡水と海水が入り混じった「気水湖」。そんな稀有な環境が育んだ、この地のメインの特産物が「しじみ」です。全国で年間約2万トンの水揚げがある「大和しじみ」のうち、3割以上が宍道湖産となっています。

1970年代初期には、この宍道湖だけで約2万トンの水揚げがあったといいます。しかし年々獲れる量が減っているのが現実です。そのため宍道湖では、1日の量は140キログラムまでと制限され、漁の時間帯や曜日も決まっています。漁の方法は、駅弁「大和しじみのもぐり寿し」のパッケージにもあるように、長い棒の先に金網をつけた「鋤簾(じょれん)」と呼ばれる漁具で、湖底のしじみを砂とともに掬い取ります。鋤簾の金網の「目」の大きさも決まっていて、小さな稚貝を取っても金網の「目」から抜け落ちるようになっているんです。

さて、宍道湖にはしじみ以外にも「珍味」となる魚介類が生息しており、総称して「宍道湖七珍」といわれています。ひとつづつご紹介しますと、まずは「白魚」。天ぷらなども美味ですが、釜揚げや「吸い物」にする際、白魚だけでダシがとれるのが特長です。魚本来の味がそれほど濃厚ゆえ、二杯酢で活きたまま食べる「おどり食い」なる食文化も登場したのでしょう。江戸時代には東京湾でも獲れ、徳川家康も好んで食べたそうです。額に浮き上がった斑点が、徳川の御紋である「三つ葉葵」にも似ていることから、殿様魚などとも一部地域では呼ばれていました。

白魚と同じく、将軍様の御膳料理として親しまれていた「鯉」も、宍道湖七珍のひとつ。身を細切りにし、塩で茹でた卵巣と和えて食べる「鯉の糸作り」は島根県の郷土料理として親しまれています。

大和しじみのもぐり寿しその他の七珍はウナギ、モロゲエビ、アマサギ、スズキ、そしてしじみです。七珍のうち、今は無き駅弁「大和しじみのもぐり寿し」にはしじみと白魚が入っていました。ちなみに七珍の頭文字を並べ替えると「スモウアシコシ(相撲足腰)」となります。なんとも覚えやすいですよね。

また、宍道湖には「七珍」のみならず、風光明媚なスポットを厳選した「十景」もあります。「松江城の雪」「天倫寺の晩鐘」「秋鹿の出雲富士」「一畑寺の月」「平田愛宕山の秋色」「宍道の宿の夕鴨」「玉造灘の春霞」「嫁ヶ島の残照」「白潟沖のえびかがり」「大橋の朝霧」です。

「十景」と「七珍」を巡る宍道湖の旅、いかがですか?


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