東京はここのところ、めっきりと寒くなってきました。寒さにめっぽう弱い私ではありますが、それでもなんとか暮らしていけるのは「温泉」「こたつ」、それと「旬の冬の魚」があるからです!この時期に「魚」といえば東北・北陸の魚を思い浮かべますが、関東だって負けちゃいられません。ということで今回の駅弁は、小田原駅、熱海駅で販売されている「金目鯛炙り寿司」を制覇してみました。
金目鯛の赤色を彷彿とさせる包みを開けると、7カンの炙り寿司と、口直し用の1カンの千枚寿司。炙り寿司は、まず塩で身を引き締めた後にしっかりと酢に漬け込み、最後に金目鯛を皮を軽く炙って押し寿司にしてあります。ひとくち頬張ると、脂ののった金目鯛の持つ本来の甘味が、じわーっと口の中に広がります。しっかりと〆られているので臭みもまったくなく、サッと炙ったことによってほのかな香ばしさが生まれています。寿司ネタ自体も肉厚なので、お腹も程よく満たされるのも嬉しいところです。
さりげない配慮だなと思ったのは、醤油、わさび、甘酢生姜の他に、おろし生姜もついている点です。鰹などのアクの強い魚におろし生姜はよく合いますが、これは駅弁ならではの配慮といえるでしょう。いかに美味しい寿司といえど、同じネタを食べ続けると少々飽きてきます。脂ののった寿司であればなおさらです。そこで、わさびで食べたら次はしょうがで、といったようにアクセントを変えて食べてみると、風味のバリエーションが増して常に美味しく食べられるというわけです。
もうひとつのポイントが、紫蘇で巻いた千枚寿司。中は梅じゃこご飯になっています。寿司の「酢」とは異なる酸味が口の中をさっぱりとすすぎ、脂の乗った炙り寿司との相性は抜群です!箸休めとして途中に食べてもいいですし、最後の締めに食べてもよいかも。
この駅弁を製造している東華軒さんの創業は、なんと明治21年。横浜-国府津間が開通した1年後に国府津停車場構内営業者の許可を得て、握り飯2つとたくあんを竹の皮で包み、5銭で販売。それが東海道初の駅弁とのことです。以来、明治36年発売の「特選小鯵押寿司」をはじめ、伊豆半島の自然の恵みをふんだんに駅弁に活かしてきています。もちろん金目鯛も、伊豆半島を代表する魚。次回は「伊豆」と金目鯛の深~い関係についてお送りしましょう。